建設業ブログ

建設現場で発生する主なトラブルとその原因

注文住宅建設やリフォーム、ビル建築などの工種を問わず、工事においては必ずトラブルがつきものです。

 今回は施工トラブルのリスクを回避するために、工事上で頻繁に発生する施工トラブルと、トラブルを未然に防止する方法を解説しましょう。

 

・トラブル① 工期の遅延

契約書に記載された工期が遅れてしまうというのは、建設業界人にとっては、非常に冷や汗をかく事態です。

 

新築住宅であれば、施主は竣工のスケジュールに合わせて引っ越しの予定を組んでいますし、施設系の建物であれば、多くのテナントが関わる施設開業予定に直結するため、工期遅延は深刻なお金のトラブルに発展しがちです。

 

災害や悪天候で工事が進まなかったり、施主から途中で設計変更や追加工事の指示があったりと、工期遅延の理由はさまざまですが、いずれにせよ、責任の所在を巡って大きな問題に発展するケースが散見されます。

・トラブル② 着工後の近隣トラブル

通常の工事において、請負会社は着工前に近隣挨拶を済ませ、工事中の騒音などによる近隣住民からのクレームを防止する配慮をします。

 

ただ、近隣挨拶を怠る施工会社も中には存在しますし、事前にしっかりと挨拶していても、いざ工事が始まると結局近隣トラブルが発生する場合も多くあります。

 

そして強硬なクレームであれば、現場を止めざるをえなくなるケースもあり、現場が止まれば大幅な工期遅延に直結します。

 

近隣住民の多い大規模な現場では、近隣トラブルのせいで現場が長期間ストップしてしまうこともあるのです。

 

・トラブル③ 施主と打ち合わせた内容や図面と仕上がりが違う

施主が工事発注に不慣れな場合、施工業者が図面を説明しただけで、施主が仕上がりを正確にイメージするのは非常に困難です。

 

そして外観や設備、間取りなど、施主の認識と施工後の仕上がりが異なっていた場合、トラブルにつながってしまいます。

 

特に、打ち合わせ段階で細かい設計変更を行ない、変更を文書や修正図面で共有していなかった場合、竣工後に「言った」「言わない」の争いに発展する例は、珍しくありません。

 

最悪、工事のやり直しを受け入れなければならない可能性もあります。

 

・トラブル④ 値引き受注によって仕上がりの質が低い

建築工事は金額が大きいため、契約前の値引き交渉は当たり前に行なわれます。

 

施工業者の営業担当者は契約欲しさに値引きに応じますが、価格を下げればその分、現場で利益を作るための工夫をしなければなりません。

 

そのため、原価を下げるために作業員を減らしたり資材の質を下げたりといった「手抜き工事」を行ない、仕上がりのクオリティが下がって施主からのクレームに発展する場合があるのです。

 

・トラブル⑤ 竣工・引渡し後に施工不良が発覚する

いくら引渡し時に施主のチェックを受け、承諾を得ていても、引渡し後の建物に水漏れや傷、色むらや汚れなどの問題が発生することは往々にしてあります。

 

施工業者に施工ミスや瑕疵の責任がある場合、工事のやり直しはサービスでやらなければいけません。

 

ひどい不具合の場合は、工事をやり直すだけでは済まず、施主から損害賠償を請求されるリスクもあります。

 

施工トラブルを回避する4つの秘訣とは?

それでは、トラブルによるダメージを最小限に抑えるためには、どうすればよいのでしょうか。

 

 

・秘訣① 適切な工期を設定し、書面に明記する

工期遅延を防ぐ最大のポイントは、そもそも守れないような無理な工期で契約を結ばないことです。

 

自社ではこなせない短工期の契約を、仕事欲しさに取ってくるのは慎みましょう。

 

加えて、施主からの変更指示や追加工事によって工期が遅れる場合にどうするか、災害や悪天候によって工期遅延が生じる場合にどうするかなど、現実的に起こりうるような不測の事態が起きた場合、施主と施工業者の間でどのように話し合うのかも契約書に明記することが重要です。

 

そして契約書によるリスク管理については、自社だけでやるよりも、建設業のリスクマネジメントに強い弁護士などの専門家に依頼することが必要となります。

 

・秘訣② 近隣住民にまめに対応する

近隣トラブルを防ぐために大切なのは、大前提として着工前の近隣住宅への挨拶をきちんとすることです。

 

より万全を期すのであれば、大きな騒音の出る工事やホコリが舞う作業が発生する前など、節目のポイントで繰り返し説明に出向いておくとよいでしょう。

 

中には、元請業者でなくても工事の万全を期すため、自主的に近隣挨拶に対応する下請業者もあるようです。

 

・秘訣③ 施主とのコミュニケーションを密に行なう

工事完成後の施主との認識の相違を防ぐためには、着工前の打ち合わせだけでなく工事中も細かく施主とコミュニケーションを取り、信頼関係を築いて関係性を良好に保ちましょう。

 

LINEなどのツールで工事内容と現場写真を都度、施主に情報共有しながら、具体的なイメージを確認するのもおすすめです。

 

建設業界人が見る見積もりや資料、カタログだけでは、施主には絶対に仕上がりはわからないと想定しておきましょう。

 

・秘訣④ 建設業用の保険商品を活用する

さまざまな対策を取ったとしても、残念ながら、工事による施工トラブルのすべてを防ぐのは不可能です。

 

自社のミスをゼロにするのも、現実的には難しいものです。

 

そこで、どうしても100%予防するのが難しいトラブルについては、保険加入によってリスクヘッジするのもひとつの手です。

 

大多数の建築業者が加入する建設業総合保険は、高額なわりに補償の内容が現場の実態に合っていない商品もありますが、中には建設業のリアルを知り尽くした保険会社が設計した、痒いところに手の届く補償を適正な保険料で得られる商品も、少数ながら存在します。

まとめ

 

建設業でよくある施工トラブルと、トラブル回避のための予防策を紹介しました。

 

建設業は、モノづくりに取り組むクリエイティブな仕事ですが、それと同時に、請負業特有のトラブルをどれほど防げるのかに利益が大きく左右されます。

 

防げるトラブルは事前対策で防ぐ、トラブルが起こった場合の対処法を決めておく、保険を活用するなど、不測のトラブルで自社が大ダメージを受けることがないように、リスクをしっかりコントロールしましょう。

新築一戸建ても価格が上昇

首都圏の新築一戸建ても価格が上昇?

マンション価格の高騰の影響か?調査結果を詳しく解説

 

新築一戸建ての平均購入価格は4844万円で、調査開始以降で最高額

まず、2024年に新築分譲一戸建てを契約した人の購入物件について、見ていこう。購入物件価格の平均額は4844万円で、2014年の調査開始以降で最高額になった。内訳を見ると、「6000万円以上」のシェアが20.1%になり、前年の13.2%から大きく増加した。

■購入価格(全体/実数回答)

購入価格(全体/実数回答)

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

次に、購入物件の広さを見ると、建物の平均面積は98.5m2で、2022年の97.9m2、2023年の98.0m2とわずかながら2年続けて拡大している。一方、土地の平均面積は118.5m2で、こちらは2022年の122.0m2、2023年の119.3m2とわずかに縮小傾向にある。

物件最寄り駅からの距離を見ると、「バス・車利用」が2023年・2024年ともに最多の25.7%だったが、徒歩圏の平均を見ると2023年の14.0分から2024年の13.6分と、少し短縮している。

 

平均価格の上昇は東京23区のシェアが増えたから?

首都圏の新築一戸建ての購入平均価格が上昇したのは、駅距離や広さの条件によるというよりも、所在地の影響が大きいと考えられる。購入した物件の所在地で「東京23区」のシェアが前年の13.3%から15.9%に増えたからだ。

■購入物件所在地(全体/単一回答)

2023年契約者全体

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

物件所在地別の平均価格を見ると、「神奈川県」では2023年と2024年で違いはないが、「東京都下」、「埼玉県」、「千葉県」では2024年に上昇している。しかし、目につくのは、「東京23区」の平均価格の上がり方だ。2024年にはついに7000万円を突破したほど、急な上がり方をしている。

価格上昇が続く東京23区のシェアが増えたことで、平均価格を押し上げたといえるだろう。

■平均購入価格の推移

平均購入価格の推移

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

平均購入価格の上昇に伴い、ローンの借入額や世帯総年収、共働き比率も増加

ちなみに、リクルートではすでに、「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」を公表している。このマンションの調査を見ると、平均購入価格は6629万円でやはり調査開始以降の最高額となった。ただし、物件の所在地のシェアでみると、東京23区が前年から大きく減少した。

これは、新築マンションの平均価格、特に東京23区の平均価格が8440万円になるなど、手が届きにくい価格になっていることの影響が考えられる。手の届きやすい価格帯の東京23区外のマンションを購入する動きがあった、とみられている。

では、新築マンションの価格上昇により、新築一戸建ての購入動向にも変化がみられるのだろうか?

新築一戸建ての平均価格が調査依頼最高額となり、東京23区の物件を購入したシェアが高まっていることは、すでに紹介した。このことから、23区内のマンションから一戸建てに切り替えた世帯が一定数いたことが想定できる。ちなみに、東京23区の平均価格は7202万円で、新築マンションより低い。

購入する価格が上がれば、ローンの借入額も増える傾向がある。2024年の調査結果を見ると、住宅ローンを借り入れた世帯の借入総額の平均は、4524万円となり、調査開始以来最高額となった。特に目立つのが、「5000万円以上」のシェアだ。2023年では「4000~5000万円未満」が最も多くなっていたが、2024年になると「5000万円以上」が31.4%で最多となっている。

■ローン借入総額(ローン借入者※/実数回答)

ローン借入総額(ローン借入者※/実数回答)

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

借入額が増えたことの影響か、全体の世帯総年収額や共働き世帯比率も増加している。
まず、平均世帯総年収は2023年の814万円から2024年の875万円と上昇し、調査開始以来の最高額となった。なかでも、「1200万円以上」のシェアが大きく増加した。

■世帯総年収(全体/実数回答)

世帯総年収(全体/実数回答)

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

共働き比率は全体で72.0%となり、調査開始以降で初めて7割を超えた。

さて、金利がある時代に変わり、住宅ローンの金利も上昇トレンドに入った。そうはいっても、まだ低金利の状況にあるといえる。購入価格の上昇に伴い、ローンの借入額を増やしても、低金利の恩恵で利息を抑えることができるが、長期間返済するうちには金利が上昇する局面もある。無理のない資金計画を立てることが重要だ。

価格は当面下がりそうにないのに、金利は上がりそうないま、住宅購入を決めるのは難しいかもしれない。今は損得よりも、家族の生活拠点をどうしたいかを優先し、無理のない返済プランにすることを重視するのがよいだろう。日々の暮らしを快適にするために住宅を購入するのだから。

SUUMOジャーナルから引用

建設工事に必要な足場の役割

 

建設工事現場には必ずと言っていいほど足場が組まれています!!

 

足場は建設工事、解体工事など様々な場所で組まれるもので

足場がなければ工事が成り立たないといっても過言ではありません。それほど

重要な役割です。

ひとえに足場といっても枠組足場、単管足場など様々な種類があります。

どれもが工事を安全に進め、近隣の人たちの安全を守るために欠かせないものばかりです。

 

 

足場とは

足場とは、建設工事や解体工事をする際に建築物の周りに組み上げられる

構築物です。

足場といっても様々な種類があります。足場は建物の建築、修繕、解体になくてはならないものです。

足場の歴史は非常に古く、紀元前古代エジプトのピラミッド構築にも利用されています。日本でも古くから丸太を組み合わせた足場が利用され20世紀になると

銅製の足場が組まれるようになりました。

 

足場の役割

建設工事や工事で足場が果たす役割は大きく以下の2点です。

・高所作業を安全に行える。

・近隣への影響を防げる。

高所で安全に作業を行うためには安定した場所の確保が必要です。

そのため建築工事や各種工事にとって足場はなくてはなりません。

近隣への影響を防ぐとは、建築による飛散物や落下物の抑止、騒音の防止を意味します。

この場合、足場に養生を行います。

建築現場でネットを張り巡らしている光景をよく見かけますが、あのネットが養生です。

ネット以外にも養生用鋼板が使われることもあります。

いずれも周囲の安全を守るために大変重要です。

 

まとめ

今回は、足場とは何か、足場の種類などについて解説しました。

足場は建築、建築工事を安全かつ効率的に行うために重要なものです。

建築、建設工事の際には対象となる建物に沿って構築されます。

場合によっては養生を行い、周囲への飛散や落下の防止を果たしたり、騒音を防いだりする効果もあります。

足場を組むためには経験を積み、資格を取得することが重要です。

こうした経験により、安全に作業できる環境が整えられるといっても過言ではないでしょう。

足場に少しでも興味を持ったときには、ぜひ足場について調べてみることをおすすめします。足場の奥の深さ、足場工事や工事そのものへの理解も深まることでしょう。

 

梅雨時期の建設業界での課題と解決策

梅雨の時期は建設現場でさまざまな課題が発生します。

雨による遅延や、安全確保のための対策が必要です。また、雨漏りやカビなどのトラブルへの対応策も重要です。

建設機材の錆びや故障リスクを軽減するために、適切な管理とメンテナンスが求められます。

また、建設計画の再考と日程調整の工夫が必要となるでしょう。

さらに、設備や資材の保管管理も重要であり、適切な管理方法を確立することが不可欠です。

梅雨時期における建設業界の課題に対する解決策をしっかりと考え、適切な対応を行うことが重要です。

梅雨による建設現場の遅延と作業の安全確保

梅雨時期は、建設業界にとって非常に厳しい時期です。降雨による建設現場の遅延は避けられませんが、適切な対策を講じることで作業の進行を効率化することができます。

一つの解決策として、屋外での作業を最小限に抑えることが挙げられます。悪天候時には屋内での作業や準備を行うことで、作業の遅延を最小限に抑えることができます。

また、作業現場の安全確保も大きな課題です。雨天時は滑りやすい路面や足場による事故のリスクが高まります。定期的な点検や適切な安全対策を実施することが重要です。

さらに、適切な防水対策や排水設備を整備することも大切です。建設現場が水浸しになると、作業効率が低下し安全・衛生上のリスクも高まります。

梅雨時期の課題に対処するためには、計画性やリスク管理の重要性がますます高まります。建設業界では、梅雨時期に向けた適切な対策を講じることで、建設プロジェクトの円滑な進行と作業安全の確保が求められています。

雨漏りやカビなどのトラブルへの対応策

梅雨時期に建設業界で最も多いトラブルの一つが雨漏りです。雨漏りが発生すると、工事の進行が遅れるだけでなく、建物自体にも影響を及ぼす可能性があります。

そこで、雨漏りの対策としては、建物の屋根や外壁などの防水工事を適切に行うことが重要です。また、定期的な点検やメンテナンスを怠らないことも大切です。

次に、カビの発生も梅雨時期によく見られる問題の一つです。カビは建物内の湿気が原因となることが多いため、湿気をしっかりと管理することが必要です。

カビ対策としては、建物内の換気を十分に行うことや適切な断熱・気密工事を施すことが有効です。また、カビが発生してしまった場合は、専門の清掃業者に依頼するなど、早めの対応が重要です。

以上のように、雨漏りやカビなどのトラブルに備えるためには、適切な防水工事や湿気管理を行うことが欠かせません。建設業界では梅雨時期の課題に備え、十分な準備をしておくことが重要です。

建設機材の錆びや故障リスクの軽減方法

梅雨時期は建設機材の錆びや故障リスクが高まる時期です。

まず、建設機材の錆びを防ぐためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。梅雨の湿気を吸収してしまった機材は錆びやすくなるため、湿気を吸うスポンジやタオルを使って機材の表面をしっかり拭き取ることが大切です。

さらに、機材が長時間雨や湿気にさらされる場合には、シートやカバーを使用して保護することも有効です。特に機械の摩擦部分や電子部品は水に弱いため、しっかりと保護する必要があります。

故障リスクを軽減するためには、過度な使用を避けることが重要です。梅雨時期は現場での作業が難しくなることもありますが、無理な作業を行うと機材に過度な負荷がかかり故障のリスクが高まります。

定期的な点検や部品の交換も怠らず、万が一の故障に備えることも大切です。機材の保守管理を徹底することで、梅雨時期における故障リスクを最小限に抑えることが可能となります。

建設計画の再考と日程調整の工夫

梅雨時期の建設業界では、雨や湿気による作業の妨げが課題となります。特に建設計画の再考と日程調整が重要となります。

建設計画を立てる際には、梅雨時期の降水量や湿度を考慮し、道路工事や外壁塗装などの屋外工事はできるだけ避けるようにしましょう。代替案として、室内工事や設備工事など、雨の影響を受けにくい工程を優先することが有効です。

日程調整に関しては、柔軟なスケジュール管理が求められます。天候や作業の進捗状況を適宜確認し、遅れが生じた場合は他の工程との調整を行うことが重要です。また、余裕を持ったスケジュールを設定することで、梅雨時期の遅延に柔軟に対応できます。

さらに、作業場所や素材の保管方法を工夫することも大切です。雨漏りの心配がある場合は、屋根やシートで作業場を覆うなどして防水対策を施すことで作業の安全性を確保できます。

梅雨時期の課題に対処するためには、建設計画の再考と日程調整に重点を置き、臨機応変な対応が求められます。

設備や資材の保管管理の重要性と方法

梅雨時期は急な雨や湿気などの影響で設備や資材が劣化しやすい時期です。そのため、適切な保管管理が欠かせません。

まず重要なポイントは、設備や資材を湿気や雨から守るための保管場所を確保することです。屋内の保管スペースを十分に確保し、必要に応じて防水シートやタープを使用してしっかりと保護することが重要です。

さらに、定期的な点検や清掃が欠かせません。湿気や雨の影響でカビや劣化が進む可能性があるため、定期的に設備や資材の状態を確認し、清掃を行うことで品質を維持することができます。

設備や資材の管理には、専用の管理システムを活用することも有効です。バーコードやRFIDなどの技術を活用して在庫管理や管理記録を効率化し、必要な時に必要な資材や設備を素早く取り出すことができます。

以上が設備や資材の保管管理の重要性と方法についてのポイントです。梅雨時期の課題を適切に対処するために、しっかりとした管理体制を整えておくことが大切です。

賃貸の火災保険

賃貸の火災保険、“自分でも選べる”ことを知っていたのはたった3割!?

不動産会社オススメの保険にそのまま加入するデメリットも解説

賃貸住宅で必要となる保険は火災保険だけじゃない!?

まず、この調査では、「現在の賃貸住宅用の火災保険に加入した状況」について聞いていることを押さえておこう。

というのも、賃貸に住む際に必要な保険は「火災保険」に限らず、「賠償責任保険」などもあるからだ。

火災保険は、住宅が火災の被害に遭ったときの損害を補償する保険。

ただし、補償内容は、火災に加えて、風水害や落雷、水漏れ、盗難などに範囲を広げられる(地震による火災は「地震保険」が対象)。また、消火活動に要した費用なども補償される。

賃貸住宅の建物は貸主(大家)のものなので、通常は建物の火災保険は貸主が、自身の家財の火災保険は借主が加入する。

もし、借りている部屋で火災などが発生したら、家財については補償の対象となるが、室内の壁やキッチンなどの設備は家財の対象にならない。

そのため、貸主が契約条件として、「借家人賠償責任補償」特約をつけた火災保険への加入を求めることがある。

「借家人賠償責任」の保険は、借りている部屋で事故などが起きたときに、貸主に対する損害賠償を補償するもの。

これによって、火災や水漏れで壁や床、住宅設備などに損害を与えた場合でも、保険によって借主の「原状回復義務」(入居中に生じた傷などを回復させる義務)を果たすことができる。

こうした保険に加入することは、貸主だけでなく借主にもメリットがあることなので、賃貸住宅の入居条件となっていることが多い。

 

7割以上は不動産会社が用意した保険にそのまま加入。約7割が自分で選べることを知らなかった

では、調査結果に話を戻そう。

まず、賃貸住宅用の火災保険加入者に対して、加入した状況に最も近いものを聞いたところ、「賃貸借契約の際に、不動産会社に指定された保険に加入した」(60.2%)が最多だった。

「賃貸借契約の際に、不動産会社にオススメされた保険に加入した」(12.6%)と合わせると、そのまま加入したのは72.8%に達する。

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」より

次に、不動産会社が指定・オススメした火災保険に加入した728人に対して、「賃貸火災保険は不動産会社や管理会社が指定する特定の保険ではなく、自分で選んだ賃貸火災保険に変更できること」を知っているか聞いたところ、「知っていた」は30.9%にとどまり、「知らなかった」という回答が69.1%になった。

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」より

また、現在加入している火災保険の補償内容や補償範囲などをどの程度理解しているか聞いたところ、「あまり理解していない」(38.0%)と「ほとんど理解していない」(10.7%)の回答を合わせた48.7%が、自分が加入している保険の内容を理解できていないことが分かった。

 

自分で選べば自分が必要とする範囲をカバーできる?

保険が賃貸住宅の入居条件となっているのは、火災などの被害に遭った場合に、貸主も借主も困らないようにするためだが、実際にどこまでの補償内容を求めるかは、貸主によって異なる。

火災保険(家財)に借家人賠償責任補償の特約を付帯することを条件とする場合もあれば、借家人賠償責任保険のみを条件として、家財の火災保険は借主自身の判断とする場合もあるだろう。

逆に、借主がすでに別の保険やクレジットカード付帯の保険で、補償内容をカバーしていることもあれば、借家人賠償責任保険ではなく「個人賠償責任保険」に入って、より補償範囲を広げたい(階下など他者への損害まで補償する)と考えることもあるだろう。

不動産会社が指定・オススメしている保険が、必ずしも自分に必要がない補償を含む場合もある。

保険加入が入居条件になっている場合は、貸主がどこまでの補償範囲を求めているのかを確認し、自分で保険を選べるかどうか相談するとよいだろう。

また、たとえ保険加入が入居条件ではなく任意の場合でも、万一に備えるために保険の加入を検討したい。

一般的に、補償が手厚いほど保険料も高くなるので、自分に合った保険を選びたいもの。

それには、保険の補償内容をよく理解し、どんなリスクまでカバーしたいのか考える必要がある。また、すでに加入済みの保険の補償内容を再確認して、重複することのないようにしたい。

くれぐれも、不動産会社が用意した保険だからと、補償内容をよく理解しないまま加入してしまうことのないようにしてほしい。

 

SUUMOジャーナルから引用

不動産業の今

令和5年度時点不動産業界の現状

まずは、将来性を計るためにしっかりと現状を把握することが大切です。本章では不動産業界の現状について詳しく解説します。

令和5年度時点で不動産会社は10年連続増加

国土交通省が発表した、令和5年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果によると、この10年間で宅地建物取引業者数は連続で増加しています。

 

2019年から2022年はコロナウイルスの影響により、特に外食産業や観光業、旅行業などは大きなダメージを負いました。

不動産業も接客や販売方法など変化を迫られましたが、それでも会社数は増え続けています。東京オリンピック後に懸念されていた不動産の暴落といった状況にもなっておらず、比較的堅調に推移したことから不動産会社の増加につながっているといえるでしょう。

不動産の市場規模自体は一進一退の状況にある

不動産会社の数は増加傾向にありますが、不動産自体の市場規模はここ数年一進一退の状況となっています。

財務総合政策研究所が公表した「年次別法人企業統計調査における不動産業界の売上高」から市場規模を見てみましょう。2019年には45兆3835億円規模でしたが2023年には56兆4539億円と増加しています。2022年と比較しても前年比22%と全産業の中でも大きく増加しています。

コロナウイルスの2020年度も大きな増加率の幅は見られず、比較的安定して推移していることが読み取れます。

出典:年次別法人企業統計調査(令和5年度)

新築住宅の着工件数は減少傾向

新築の住宅着工件数も不動産業界の現状についての参考となります。

国土交通省が公表している「住宅経済関連データ 新設着工戸数の推移」で直近の10年間を見ると、新築の住宅着工件数のピークは2016年の約97万戸でしたが、2023年は約80万戸と減少傾向があります。

人口減少に伴って新設住宅着工戸数も減少していくことが予想されます。新築住宅市場自体は大きいものの、建設費の値上がりなどで新築だけではなく、中古物件を住居の選択肢として選ばれることも想定されます。

人手不足は深刻化している

不動産業界に限ったことではありませんが、少子高齢化による人口減少の影響は避けられないものとなっています。不動産業界においても会社自体は増えていますが、従業員の高齢化は進んでいるといえるでしょう。

今後も人口減少の流れは変わりませんので、人手不足の対応強化が急務です。人手不足を解消するためには業務の手順を見直し、効率化やDX化を進めていく必要があります。特にITを使った業務効率などは、不動産業界にとって未着手となっている点も多く、官民一体とした業務効率化が求められているといえるでしょう。

2025年以降の不動産業界の課題

不動産業界では、今後課題と言われている様々な問題があります。課題といえばネガティブなイメージがあるかもしれませんが、裏を返せば課題を解決するビジネスチャンスにも繋がります。どのような領域にチャンスが生まれるのか、業界の課題を解説していきます。

 空き家数増加による「空き家問題」

不動産業界の人手不足の点でも解説しましたが、少子高齢化による人口減少は空き家の増加にも大きな影響を及ぼしているといえるでしょう。

国土交通省の統計によると、2018年時点で20年間で約1.5倍に増えています。576万戸→849万戸に増加しており、社会問題の1つとされています。

 

二極化の流れも顕著で、都心部の需要は高いものの土地がないので土地の価格がどんどん高くなる一方で、高齢化が進んだ地方では高齢者の増加と共に空き家が増えています。

特に、団塊の世代と呼ばれた、人口が多い1947年から1949年世代の方々の相続が増えており、空き家の増加が急速に増えているのです。

空き家を放置することにより、近隣不動産の市場価値にも悪影響を及ぼす場合があり、不動産の健全な流通を阻害する要因となってしまうかもしれません。

空き家の増加は不動産業界が抱える大きな課題のひとつです。

急務となるIT化

人手不足に対する対策ともなりますが、IT化の急速な推進も不動産業界に与えられた大きな課題です。総務省が公表している平成26年時点の「情報通信白書」によると、不動産業の情報通信技術の活用状況(産業別ICT活用状況)は5.6ポイントとなっています。

金融、保険業の7.6ポイントや製造業の6.7ポイントと比較しても水準としては低く、アナログな風潮が残っているといえるでしょう。不動産業界に関わる行政や金融機関など、紙やFAXでやり取りをする文化も根強く残っています。

近年では、様々な不動産テックやDXのサービスが出てきています。それらをうまく活用しながら、生産性を高めていく工夫が必要となります。

 

囲い込み問題

囲い込みとは、不動産の所有者から依頼された売却物件を、他の不動産会社に紹介しないことを指します。

不動産の売却依頼を受けた不動産会社は、不動産が売却できるように購入希望者を探します。購入希望者を探す方法として、自社HPやポータルサイトへの登録や、チラシの配布などが挙げられますが、他の不動産会社への紹介も効果的な募集方法です。

しかし、購入希望者を他の不動産会社が探してしまうと、買主側の手数料は紹介した不動産会社が受け取ります。売却を依頼した不動産会社は売主からも買主から手数料を受け取りたいために、他の不動産会社に物件を紹介しないのが囲い込みの特徴です。これを、いわゆる両手取引と言います。

国土交通省も囲い込み対策に本腰を入れ、宅地建物取引業法の通達を改正し、2025年からは、囲い込みを確認すれば是正の指示処分となります。

不動産業界の将来性に影響がある出来事

将来どのような出来事が不動産業界に影響を及ぼすのでしょうか。今後の不動産業界に影響があると思われる出来事について詳しく解説します。

大阪万博開催

2021年にコロナ禍の中、東京オリンピックが開催され一定の落ち着きを見せてきました。

開催決定直後から不動産相場は上昇を続け、特に都心部は活況な時期が長らく続いていたといえるでしょう。東京オリンピック後は不動産価格が暴落するとの予測もありましたが、今のところ大きな暴落もありません。

このような世界的なイベントとして挙げられるのが2025年の大阪万博です。日本経済新聞の記事によると、経済効果は3兆円に迫るほどともいわれており、2,800万人を超える来場者が期待されています。

東京オリンピックが不動産市場に好影響をもたらしたように、大阪万博も不動産業界に一定の影響を与える出来事としてチェックしておきたいイベントです。

住宅ローン金利上昇リスク

ここ数十年、日本ではゼロ金利、マイナス金利といった言葉が世間で流れるようになり、国内の住宅ローン金利は過去にないほどの低金利で推移してきました。欧米諸国は景気に関する過熱感から金利が上昇局面に入っていますが、日本の金利は低いままで、金利の差が開いてきているのが現状です。

今後は金利が上がる可能性も考えられますが、金利の上昇は、すでに住宅ローンを借りている方にも、新規で借りる方にも金利負担増になるリスクがあります。

金利が上昇することによる不動産価格の推移を注視していく必要があります。

就職者の高齢化、後継者不足高齢化問題

不動産市場だけではなく、今後の日本経済において最も深刻な問題のひとつが少子高齢化です。子どもの数が減少し、人口自体が大幅に減少している上に、労働人口の減少により老齢世帯が突出する逆ピラミッド型の年齢層が形成されています。

先述したように、人口減少は空き家問題につながるだけではなく、住宅マーケット全体の縮小や働き手の不足にも繋がります。

国土交通省が発表している資料によると、業態別における社長の平均年齢は、不動産業が61.7歳で調査対象の業種のうち最高。また、 後継者不在率も、不動産業においては68.9%と、高齢化、後継者不在が喫緊の課題となっているデータがあります。

 

コロナ禍によるライフスタイルの変化

2019年から2022年まで猛威を振るった新型コロナウイルスは、人々のライフスタイルを大きく変化させました。特に人との接触が大幅に減少してしまったといえます。

不動産市場においてもライフスタイルの変化に対応しなければいけません。テレワークの普及により、書斎部屋やテレワークスペースの確保が必要になるでしょう。不動産市場もライフスタイルの変化を見据えた対応が求められます。

不動産業界の将来は明るい?未来のためにできること

ここまでは不動産業界の現場や課題について解説しました。最後に、課題に対しての向き合い方を業界の全体だけではなく、個人として取り組めることについても解説していきます。

不動産から派生する産業にも目を向ける

少子高齢化による人口減少や、都心部への一極集中、コロナウイルスなどの要因により不動産業界の将来も大きく価値を変えていく可能性があります。

しかし、人が存在する限り住まいの需要が無くなることはありません。さらに、不動産は流通だけではなく、管理や開発、周辺産業である建築や金融にも派生していく、出発点的な役割も果たしています。既存市場だけではなく、今後も新たな形でのビジネスもどんどん生まれていくことでしょう。

いわゆる不動産テックやDXのサービスもその1つ、様々な視点でビジネスを考えることで、既存の不動産業でも新しいビジネスチャンスを掴める可能性があります。

ニーズの多様化に柔軟に対応していく

ライフスタイルが多様化しているため、お客さまが不動産に対して求めることが多様になっています。

またジェンダーレスや、外国人などのニーズ、高齢者への理解など社会の多様性に対応していく必要がこれまで以上に出てきています。それらを踏まえて、特定の領域に特化してサービスを行う、なども戦略の1つです。

例えば今でも高齢者の方専門の不動産会社や、外国人の対応に特化した不動産会社などもあります。ニッチな分野に特化したスキルを持つことにより、その分野では大きな優位性を持つようになると、会社としても個人としてもオリジナルの強みを築くことができるでしょう。

不動産業界以外の知識やリスキリングにも目をむける

不動産は様々な業界と密接に結びついており、1つの取引が建築・金融・行政など影響は大きく広がっていきます。不動産と関連性が深い分野だと、知識を深めるために勉強してみるのがオススメです。他にもITを用いた営業活動の効率化など、現場に活かせる知識を学んでいくこともおすすめです。

新たなスキルが身に付き、今まで持っていたスキルとの掛け合わせにより、他の営業マンよりも優れた提案ができるかもしれません。すでに不動産業界で働いている場合は、ただ漠然とこなしていた分野の仕事をもう一度学びなおし、いわゆるリスキリングもできるようになると、営業の強い武器となるでしょう。

 

まとめ

不動産業界の将来性について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。さまざまな変革は必要だとしても、人がいる限り不動産需要が無くなるわけではありません。

不動産業界の動向だけでなく、経済全体の動きをとらえながら、自ら学び続けて、コミュニケーション能力を高めていくことが、不確実な時代を生き抜く術となります。

特に不動産業界は、仕事の中で多くの人間性や専門性を磨き上げるチャンスもたくさんあり、展開も広がる、キャリアを築きやすい業界ともいえます。

ホームズから引用

建設業における梅雨対策

建設現場は雨の養生が必要!雨で中止する工事と工事段階の雨対策

 

雨の養生の必要性は、工事段階によって異なるので注意が必要です。今回は、建設現場における雨の養生の必要性、雨で中止する工事、工事段階の雨対策について解説していきます。

 

■建設現場で雨の養生が必要な理由

建設現場で雨の養生をしない場合、どのようなリスクがあるか見ていきましょう。

 

◇木材などの腐食

建設に使用する木材などが雨に濡れると、雨水を吸い込んで腐食する可能性があります。濡れたままの木材で作業を続けると、建物が完成したあとに結露やカビの発生につながりかねません。そのため、木材を使用する建物の場合、ブルーシートなどで養生しましょう。

一方、鉄骨の場合は濡れても特に問題ありません。鉄筋が雨に濡れると錆が発生しますが、錆で表面がガサガサした方がコンクリートとよく馴染むメリットがあります。

ただし、基礎と建物をつなぐアンカーボルトの場合、錆びると耐久性が下がることもあるので注意が必要です。

 

◇手・足が滑りやすい

施工中に雨が降った場合、手が濡れることで工具が滑り落ちることがあります。下に人がいた場合、落ちてきた工具が当たってケガをする可能性も否定できません。

また、足場は金属製のため濡れると滑りやすくなり、滑って転倒や転落するリスクがあります。安全靴から長靴に履き替えた場合は特に注意が必要です。安全靴は靴紐でしっかりフィットしますが、長靴は足よりもやや大きめです。安全靴との感覚の違いにより、段差に引っかかり、転倒や階段から落ちるケースもあるので注意しましょう。

 

■雨で作業できなくなる工事の種類とは?

実際の建設現場では、大雨や強風でない限り作業が休みになることはほとんどありません。雨が降った場合は、できる部分の施工を行なうのが一般的です。しかし、工事の種類により、雨や強風で作業ができなくなるケースがあります。そこで、雨で中止になる工事とその理由を紹介します。

 

◇塗装工事・左官工事

外での作業になる外壁の塗装工事や、屋外の左官工事は雨で中止になります。ただし、建物の外側の工事が済んでいる場合、屋内の塗装工事や左官工事は雨でも作業が可能です。天気予報や当日の雨の降り具合により、外から屋内に作業を変更することがあります。

 

◇掘削工事

基礎工事の一つである掘削工事は、穴を掘る作業のため雨の作業は困難です。地盤がゆるくなることで土砂崩れのおそれがあること、土を運ぶダンプで道路が汚れるといった理由があるためです。

 

◇コンクリート打設工事

雨がコンクリートと混ざると強度に悪影響を及ぼすため、コンクリート打設作業は中止になる可能性があります。また、コンクリート打設後に表面を仕上げる作業の場合も、強い雨が降ると作業が中止になります。

一方、数時間前にコンクリートを打設した場合は、雨が降っても問題ありません。コンクリートが固まるのは、セメントと水の水和反応によるものです。乾燥により強度が下がるうえに、表面にひび割れが発生する場合があります。あえて散水して乾燥を防ぐこともあるため、土砂降りでない限り、コンクリート打設後の雨は恵みの雨といえます。

 

◇屋根工事

雨の養生ができない屋根工事は、高所作業の危険が伴うことから中止になります。雨のなかの高所作業は足元が滑りやすく、墜落などの事故の危険性が高まるためです。

 

■建設現場の工事段階における雨対策

建設工事の段階ごとに、雨対策の必要性と対策方法が変わります。そこで、工事段階ごとにおこなう雨対策について見ていきましょう。

 

◇基礎工事中の雨対策

基礎工事中、コンクリートの打設前に雨が降った場合、むき出しの鉄筋が錆びることがあります。前述のとおり、鉄筋が錆びるとコンクリートに馴染むため、雨の養生は必要ありません。

ただし、コンクリート打設後に雨が降った場合、基礎と建物をつなぐ役目があるアンカーボルトが錆びていないか確認する必要があります。アンカーボルトは錆止めの加工がしてありますが、長時間の雨で加工が剥がれ、錆びることがあるためです。

 

◇上棟前の雨対策

上棟前の場合、1階の床下地合板が濡れないように、ブルーシートで養生する必要があります。床下地合板は「乾燥材」と呼ばれる、内部まで乾燥した板を使用することが一般的です。乾燥板は雨が染み込みにくいうえに、雨が上がると乾燥し、元に戻る性質があります。

ただし、床下地合板が乾燥したあとも凹凸が残る、または膨らんだり波打っていたりする場合は注意が必要です。床下地合板の上にフローリングを敷くため、歪みがあると床鳴りの原因になります。

 

◇上棟後の雨対策

上棟が終えていれば雨に濡れても問題ないため、ブルーシートなどの雨対策は特に必要ありません。

ただし、防水工事をしていない状態で雨がたまる場合や、湿った状態が続くとカビの原因になります。雨の養生は不要ですが、工事再開時に専用の機械で木材の含水率を確認することが重要です。なお、工事が可能な含水率の目安は、20%以下とされています。

 

◇外壁施工後の雨対策

外壁の施工まで済んでいる場合、雨の養生は基本的に必要ありません。ただし、工事の再開時に室内や床下に雨水が侵入していないか、目視で必ず確認しましょう。特に床下は蒸発しにくい環境のため、カビが発生しやすいので注意が必要です。

 

■まとめ

建設現場による雨は、材料により養生の必要性が変わります。基礎工事の鉄筋の場合、雨で錆びるとコンクリートと馴染む、コンクリート打設後は乾燥を防ぐメリットがあります。一方、木材が濡れた場合、しっかり乾燥しないと結露やカビの原因になるので注意が必要です。

また、屋外の塗装や左官、屋根工事、掘削工事などは雨で中止になることが基本です。そして、工事の段階で雨対策の必要性が変わるため、適切な対策をとること、カビを防ぐ乾燥対策をしっかりおこないましょう。

ベスキャリから引用

一戸建ての防犯対策

一戸建ての防犯対策、ニュースなどを見て“対応済・対応したい”が85%に。防犯住宅にするなら何をする?

一戸建ての防犯対策、ニュースなどを見て“対応・対応したい”が85%に。防犯住宅にするなら何をする?

(写真/PIXTA)
昨今は、闇バイトによる侵入犯罪などが多発している。狙われやすいのは、一戸建てだ。日本サッシ協会が、一戸建て住宅の購入者(20代~60代の男女約450名)を対象に「戸建て住宅における防犯意識調査」を実施したところ、一戸建ての防犯対策をするかしないかは、“防犯意識”の違いによることが明らかだったという。詳しく見ていこう。
【今週の住活トピック】
「戸建て住宅における防犯意識調査」を実施/日本サッシ協会

一戸建て購入時に44%が「防犯対策を考えなかった」、理由は防犯意識の不足

一戸建て住宅を実際に購入した、もしくは購入時に住宅の仕様を検討した人を対象に、「防犯対策についてどの程度考えたか」を尋ねた結果、44.0%が「防犯対策を考えなかった」(「まったく考えていなかった」9.9%+「あまり考えていなかった」34.1%)ことが分かった。

考えなかった人にその理由を聞くと、1位が「防犯意識が不足していた」(43.4%)、2位が「地域の治安が良好だと思っていた」(31.6%)となった。

住宅購入時の防犯対策への考慮/防犯対策を考えなかった理由(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

住宅購入時の防犯対策への考慮/防犯対策を考えなかった理由(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

一方、「防犯対策を考えていた」56.0%の人が挙げた理由は、1位が「普段から防犯意識が高い」(56.2%)、2位が「社会的事件が多く不安に思った」(53.4%)など、“防犯意識”の高さがうかがえる結果だった。

住宅購入時の防犯対策への考慮/防犯対策を考えた理由(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

住宅購入時の防犯対策への考慮/防犯対策を考えた理由(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

“防犯意識が高いか低いか”が、一戸建ての防犯対策に影響することが浮き彫りになった。

凶悪化する住宅侵入犯罪が多発して防犯意識は高まる

とはいえ、住宅侵入犯罪に関するニュースを目にすることが増えた。こうしたニュースを見て、「新たに住まいの防犯対策をしたか」と聞くと、「既に防犯対策を対応した・対応したい」という人が85%に達した。手口が巧妙でかつ凶悪化する住宅侵入に対する防犯意識が、かなり高まっているようだ。

防犯対策として採用したいものは、1位が「防犯カメラの設置」(64.4%)、2位が「玄関周りの強化(鍵の強化等)」(48.3%)、3位が「窓周りの強化(面格子や防犯ガラス等)」(43.5%)などが上位になった。

ニュースなどを見て新たに住まいの防犯対策を対応したか/採用したい対策(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

ニュースなどを見て新たに住まいの防犯対策を対応したか/採用したい対策(出典/日本サッシ協会「戸建て住宅における防犯意識調査」より転載)

防犯カメラなど「抑止効果」を期待するものと、玄関周りの強化など「侵入しにくくする」ものの、二段構えを求めているようだ。

警察庁でも防犯住宅を目指すことを推奨。わが家の防犯診断も用意

警察庁でも、侵入犯罪を抑制するために、防犯住宅を目指すことを推奨している。そのために、建物錠の防犯性能の表示を求めたり、防犯性能の高い建物部品の開発や普及に力を入れたりしている。また、地域コミュニティの強化や自主防犯意識の向上などで、侵入犯罪に強いまちづくり・住まいづくりを呼び掛けている。

さらに、警察庁では、「住まいる防犯110番」のサイトで、「我が家の防犯診断」を掲載している。そのうち一戸建ての診断内容について簡単に紹介しよう。犯罪者は住宅の開口部といわれる場所から侵入するので、「玄関ドア」「1階の掃き出し窓」「トイレや浴室の高窓」「勝手口ドア」「2階の窓」「ベランダ」などの防犯性能が重要になる。

「玄関」については、“侵入に時間がかかる錠”の設置を求めるほか、照明や防犯灯などがない、通りから見通しが悪いなど“侵入者が隠れやすい環境”をなくすこと、屋外のどこかに鍵を隠しておくのをやめることなどの注意点を挙げている。

「勝手口」は玄関より、錠の防犯性能が低かったり、周囲から死角になりがちなので、より注意が必要だ。

1・2階の「窓」については、“ガラスを防犯性能の高いものにする”こと、“窓にロック付きクレセントや補助錠を付ける”ことなどを推奨。掃き出し窓など大きな窓には、“防犯性能の高い雨戸・シャッターを付ける”こと、小さい窓には“面格子を付ける”ことなどを推奨している。

また、物置や車庫、室外機、庭木などが2階にのぼる足場になる位置になっていないか、庭やベランダ、車庫が侵入者の身を隠す場所になっていないか、なども注意点として挙げている。

日本サッシ協会は、板硝子協会、日本ウインドウ・フィルム工業会、日本シャッター・ドア協会、日本ロック工業会との5団体で、防犯建物部品普及促進協議会を設置し、「防犯性能の高い建物部品」(CP部品)を認定・公表している。防犯対策をするうえで、開口部に防犯性能の高い商品を選ぶことも検討したい。

ただし、防犯性能の高い部品を設置したからといって、安心して施錠を忘れたり、庭木が伸び放題で隠れやすい環境を作ったりしては元も子もない。日頃から留守宅と悟られない工夫をするなど、高い防犯意識を保ち続けることが、最も重要だろう。

SUUMOジャーナルから引用

老後リフォームは必要??

老後に住宅のリフォームは必要? 4つのポイントと注意点を解説

 

老後に快適な暮らしを実現するには、自宅の補強やリフォームが必要になる場合も少なくありません。老後に備えて住宅を整備するうえでは、さまざまなポイントを押さえておく必要があります。この記事では、老後のためのリフォームについて検討している人に向けて、リフォームのポイントや注意点などを解説します

 

ぜ老後のためのリフォームが必要なのか?

ここでは、老後のためにリフォームを検討する理由について解説します。

家庭内事故を防止するため

高齢になると体力や体の機能が低下するため、自宅で転倒したりヒートショックを起こしたりする可能性が高くなります。高齢者の家庭内での事故はとても多いです。

自宅にわずかな段差があっても、若いうちはあまり気になりません。しかし、年を重ねてくると、わずかな段差でもつまずきやすくなります。また、住宅に長く住み続けていれば、建物や設備が劣化して事故の原因になる場合もあります。家庭内で発生する事故を防ぐには、リフォームにより自宅の安全性を高めることが重要です。

自宅の老朽化や災害時の対策を行うため

若いときから同じ住宅に住んでいれば、自分が歳を重ねるほど住宅も古くなります。建物や設備が劣化すると事故の原因になるだけでなく、日常生活にも支障をきたす恐れがあります。老後も快適な生活を維持するには、リフォームによる改修が必要です。

また、住宅が老朽化していると、地震や台風などの災害発生時に被害を受けやすくなります。住宅の安全性を高めたり、停電時に蓄電池を使えるようにしたりするためのリフォームするケースも多くなっています。

老後のためのリフォームで意識したい4つのポイント

老後を見据えたリフォームでは、特に意識したいことがあります。具体的な4つのポイントを解説します。

断熱リフォーム

断熱リフォームは、住宅の断熱性を高めるための施工方法です。冬場は暖かい部屋と寒い部屋の温度差が大きくなりやすく、ヒートショックを起こす原因になります。ヒートショックとは、激しい温度変化により、脈拍が急激に速くなったり血圧が急上昇または急降下したりする現象です。ヒートショックを起こすとめまいや心筋梗塞などを引き起こすリスクがあります。

断熱リフォームで住宅の断熱性を高めて部屋と部屋の間で激しい温度差が生じないようにすると、ヒートショックの予防に効果的です。

バリアフリー化

若い頃は危険を感じなかった場所も、年齢を重ねると思わぬ事故につながるリスクが出てくる場合もあります。高齢になっても安全に生活できるようにするには、住宅のバリアフリー化が必要です。たとえば、なるべく段差をなくしたり、手すりをつけて安全に移動できるようにしたりする家庭が多いです。

また、車椅子での生活を想定し、スペースに余裕をもたせる場合もあります。開き戸を引き戸に替えて出入りしやすくするのもおすすめです。

間取りの変更

年を重ねてライフスタイルが変化し、現在の生活にあわせて間取りを変更するケースもあります。たとえば、子どもが独立して個室が余っている場合は、部屋の仕切りをなくすと広々とした空間として活用できます。

また、夫婦が適度な距離感で暮らすため、自分たちの生活にあわせて間取りを変更するのもひとつの方法です。たとえば、キッチンや書斎などのスペースを広げ、夫婦それぞれが趣味を楽しめるようにしている家庭もあります。

耐震性の強化

住宅の築年数によっては、現行の耐震基準を満たしていない場合もあります。1981年以前に建てられた住宅は旧耐震基準をもとにしており、十分な耐震性を備えていない可能性が高いです。大きな地震に耐えらず倒壊する恐れがあるため、リフォームによる耐震補強をしたほうが安心です。たとえば、リフォームで既存の壁の強度を高めたり屋根を軽くしたりすると、耐震性を強化できます。

老後のためのリフォームで活用できる補助金制度・減税制度

老後のためにリフォームする場合は、補助金制度や減税制度などを利用できる可能性があります。具体的に解説します。

長期優良住宅化リフォーム推進事業補助金

住宅の性能を高める目的でリフォームする場合は、長期優良住宅化リフォーム推進事業補助金を活用できます。リフォームにかかる費用の一部を国に負担してもらえる制度です。たとえば、住宅の省エネルギー化や耐震補強なども対象になります。

補助を受けるには、インスペクションの実施や、リフォーム履歴と維持補元計画書の作成などが必要です。また、リフォーム後の住宅が一定の基準を満たしている必要があります。

介護保険制度

バリアフリー化のためにリフォームするなら、介護保険から助成を受けられる可能性もあります。対象となるのは、介護保険制度で要介護または要支援に認定されている場合です。住宅のバリアフリー化のための改修が必要だと判断されると、助成を受けられます。

対象となるリフォーム費用の上限は最大20万円です。20万円の工事費のうち、9割にあたる18万円が助成されます。担当のケアマネージャーや地域包括支援センターに相談すると、スムーズな申請が可能です。

各自治体の補助金制度

自治体のなかには、リフォームに対する補助金制度を独自に設けているところもあります。国が住宅の改善に力を入れているため、それにならってリフォームを推進している自治体が増えています。ほかの補助金を受けられない場合でも自治体の補助金制度なら活用できる可能性があるため、リフォームを検討する際は確認してみましょう。

「一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会」の公式サイトでは、自分たちが住んでいる地域で活用できる補助金制度を検索できます。

※参考:一般社団法人 住宅リフォーム推進協議会

リフォーム減税

条件を満たしてリフォームを実施すれば、減税になる場合があります。対象となる税の種類は、所得税、固定資産税、贈与税、登録免許税、不動産取得税です。

所得税の控除は3つにわかれており、投資型減税、ローン型減税、住宅ローン減税があります。投資型減税はローンの利用の有無にかかわらず選択できます。ローン型減税は償却期間5年以上、住宅ローン減税は償却期間10年以上のローンが対象です。

老後のためのリフォームを行う際の注意点

老後のためのリフォームは、工事の内容によって工期が変化します。大掛かりなフルリフォームをするには、着工から完成まで長い期間が必要です。老後を見据えてリフォームする場合は工事の流れを理解し、余裕をもって早めに計画を立てましょう。

住宅の劣化の状況によっては、追加工事が必要になるケースもあります。万が一の場合に備え、予算には余裕をもたせておくと安心です。

老後のためのリフォームにおける業者の選び方

老後を見越してリフォームするときは、業者選びにもこだわりましょう。ここでは、業者の選び方について解説します。

実績が豊富か

住宅のリフォームを失敗しないためには、信頼できる業者を選ぶことが大切です。実績が豊富であり、さまざまなニーズに対応してきた業者を選びましょう。業者のホームページをチェックすると、具体的な実績を確認できます。業者の得意分野についても把握し、自分たちが希望するリフォームに対応できるか見極める必要があります。

口コミも見ておくと、過去にその業者へ依頼した人の率直な意見も確認できます。

サポートは充実しているか

リフォームを依頼する業者を選ぶときは、サポート体制も確認しましょう。なかには、リフォームが完了して実際に住み始めた後に不具合や欠陥がみつかるケースもあります。サポート体制が充実していないと修理に対応してもらえない恐れもあるため、注意が必要です。

アフターサービスがついている業者を選べば、たとえ後から問題がみつかってもきちんと対応してもらえます。責任をもってリフォームの工事をしてもらえるため、安心です。

まとめ

体力やライフスタイルの変化を見据え、老後に向けたリフォームをする家庭は多いです。バリアフリー化や耐震補強などを実施すると、長く安心して暮らせます。補助金や減税制度も活用すれば、少ない負担で住環境を整えられます。信頼できる業者を選び、理想的なリフォームを実施しましょう。

バルコニーは不要??

家にはバルコニー(ベランダ)があるのが当たり前と思っている方は多いかもしれません。
近年、乾燥機や部屋干しができるランドリールームの導入、花粉などの影響で外干しの機会が減り、
バルコニーを作らないケースも増えています。

バルコニーを作らない場合のメリット・デメリットとは?

 

バルコニー不要論の背景に
「コストダウン」「外干し機会減」

バルコニーを作る・作らないは、最近、お客さまとの打ち合わせでもよく議題に上がります。

物価高で建築費用が上昇する中で「どこを削れるか?」と考えたときに、「洗濯物は乾燥機で乾かすので外干しはほとんどしない。

だからバルコニーをなくす」という選択をされる方はいらっしゃいます。

バルコニーの要・不要については、「洗濯物を干すのに必要だから作る」「洗濯物を外干ししないから要らない」といった単純なものではなく、周辺の立地なども含めて「バルコニーがあった方がいいのか、なくてもいいのか」という視点で検討するといいでしょう。

例えば、採光が厳しい立地の場合、2階に光を取り入れるためにバルコニーを作った方がいいケースもあります。

大きな掃き出し窓※1が確保できて室内が明るくなり、空間全体を広く感じられることもあります。

 

バルコニーを作らないメリット・デメリットとは?

バルコニーを作らない場合のメリット

建築費用・メンテナンス費用が節約できる

バルコニーの建築費用がかからないので、総工費が安くなります。また、バルコニーの床の防水メンテナンス(およそ10〜15年に一度必要)や、腰壁がガラス製の場合は飛散防止フィルムの交換(およそ10年に一度必要)といったメンテナンスが不要になります。

掃除の手間が省ける

ほこりや汚れ、落ち葉などがたまりやすいバルコニーは、定期的な床の掃除や排水溝の掃除が必要です。バルコニーがなければその手間が省けます。

鳥のふん害を受けにくい

バルコニーがあると、ハトやカラスの止まり場になってふん害に悩まされることも。バルコニーがなければそうした被害もありません。

防犯面で安心

バルコニーが空き巣侵入の足場になったり、目隠しになったりする場合があります。外干しの洗濯物によって家族構成を推測されることも。バルコニーがなければ防犯面では安心といえるかもしれません。

バルコニーを作らない場合のデメリット

洗濯物や布団を外に干せない

バルコニーがないと、外干しはできません(庭に干す場合を除く)。ただし、乾燥機やランドリールームの導入、共働きの増加、花粉やPM2.5の影響で、外干しがベストとも言えないため、デメリットと感じない方もいるでしょう。

窓が汚れる・窓掃除がしにくい

バルコニーの奥行きで雨風がしのげるので、バルコニーがなければ窓が汚れやすくなります。さらに、足場がないので窓の外側を掃除しにくくなります。

エアコンの室外機の置き場に困る

バルコニーにはエアコンの室外機の置き場としての役割もあります。バルコニーがなく、室外機を地上に設置する場合、長い配管を壁にはわせるので工事費用が高くなり、外観デザインを損なうことも。配管を壁の内部に通す隠蔽配管という方法もありますが、追加工事が必要になり、エアコンの買い替えの際も機種が限られるケースがあります。

また、2階リビングの場合、バルコニーはゴミの一次保管場所にもなるため、バルコニーがないと困ることもあるでしょう。

閉塞感を感じる場合も

バルコニーを作らないと掃き出し窓が作れず、腰高窓※2かFIX窓※3になります。開口部の面積が狭くなる分、採光性が低くなり開放感が感じられない場合も。外の空気を吸ってリフレッシュしたいときなども、気軽に外に出られる場所がないので、閉塞感を感じるかもしれません。

※2腰高窓…成人が立ったときの腰の高さに設置される窓のこと

※3FIX窓…ガラスを窓枠にはめ込んだ開閉できない窓のこと

階下の直射日光がきつくなる

庇やバルコニーの張り出しを使って日射をコントロールする「パッシブデザイン」という設計手法がありますが、バルコニーをなくせば階下にダイレクトに日差しが入るので、暑さが厳しくなります。

プライバシーが守りにくい

バルコニーが張り出すことで、外から室内への視線を適度に遮ることができますが、バルコニーがないと外からの視線は感じやすいかもしれません。

バルコニーを作る・作らないで迷っている方は、メリット・デメリットをしっかりと踏まえた上で判断することをおすすめします。

バルコニー不要派だけじゃない
「ランドリールーム」のすすめ

以前実施した「ベランダ・バルコニーについてのアンケート」で、バルコニーの用途を尋ねたところ、約8割の方が「洗濯物や布団を干している」と回答したことからも分かるように、「バルコニー=洗濯物を干す場所」というイメージは未だ根強いのかもしれません。

そうした中で、バルコニーを作らない選択をした方の間で、洗濯物を部屋干しできるランドリールームを作るケースが近年とても増えています。

「洗う・干す・取り込む・アイロンがけをする・たたむ」が1カ所で行えるランドリールームは、洗濯まわりの家事の効率化を助けてくれます。普段はバルコニーで外干しをしている方も、ランドリールームがあれば雨の日や花粉の時期の部屋干しに重宝しますし、リビングに洗濯物を干さずに済みます。ランドリールームのように「多少散らかったり、生活感が出てもOK」というスペースが家の中にあると、心のゆとりにつながります。

ランドリールームの広さは少なくとも1.5帖、できれば3~4帖あると理想的です。縦長の空間だと両端の壁面収納量が増え、カウンターも設置できて使い勝手が良くなります。除湿器は必須で、備え付けの除湿器を設置したり、既製品を使ったり、浴室・脱衣所・ランドリールームがつながっていれば浴室の扉を開けて浴室乾燥機で乾かす方法もあります。ランドリールームの近くにファミリークローゼットを隣接させることで、家事動線がさらにスムーズになります。ランドリールームはバルコニーの有無を問わず、これから家を建てるすべての方におすすめしたい空間です。

バルコニーを「洗濯物を干す場所」という機能面だけでとらえると、「ランドリールームがあればバルコニーは不要」という結論になるのかもしれません。しかし、バルコニーは建物の「内」と「外」をつなぐ、「内でも外でもない空間」として、暮らしに豊かさをもたらしてくれます。

例えば、カフェで窓際の席に座ったり、温泉の露天風呂で開放感を味わったりするように、屋内にいるときでも外の開放感を求めてしまうことはないでしょうか。バルコニーは五感で自然を感じられる場所。家にいながら気軽に外とつながれるのは、半屋外的空間であるバルコニーならではの魅力です。

洗濯物を干すだけの用途なら、バルコニーの奥行きは90cm程度あれば足りますが、チェアを置いてコーヒーを飲んだり、読書をしたり、プランターを置いてガーデニング楽しむなど、くつろぎの空間として活用するなら1m80cm以上の奥行きが理想です。正方形に近いと使い勝手がいいですが、見晴らしのいい立地なら横長にバルコニーを取るのもアリ。隣家の視線が気になる立地なら腰壁を高めにしてプライベート感のある空間にしたり、眺望のいい場所なら外に開いて開放的にしたりと、立地に合わせて設計できます。

バルコニーを生活空間として取り込む設計のコツは、バルコニーに続く部屋とバルコニーの床の高さをそろえる、バルコニーの軒天と室内の天井を連続させて内外を緩やかにつなぐなどの手法があります。洗濯物を干すためのバルコニーと、くつろぐためのバルコニーを別々に作るのもおすすめです。

まとめ

バルコニーを作る・作らないに正解はありませんが、「コストが浮くし、使用頻度が低いから」という理由だけで作らないことを決めてしまうと、後悔する場合も。バルコニーの使用目的や、作らなかった場合のメリット・デメリットをしっかり検討しましょう。