建設業ブログ

建設現場で発生する主なトラブルとその原因

注文住宅建設やリフォーム、ビル建築などの工種を問わず、工事においては必ずトラブルがつきものです。

 今回は施工トラブルのリスクを回避するために、工事上で頻繁に発生する施工トラブルと、トラブルを未然に防止する方法を解説しましょう。

 

・トラブル① 工期の遅延

契約書に記載された工期が遅れてしまうというのは、建設業界人にとっては、非常に冷や汗をかく事態です。

 

新築住宅であれば、施主は竣工のスケジュールに合わせて引っ越しの予定を組んでいますし、施設系の建物であれば、多くのテナントが関わる施設開業予定に直結するため、工期遅延は深刻なお金のトラブルに発展しがちです。

 

災害や悪天候で工事が進まなかったり、施主から途中で設計変更や追加工事の指示があったりと、工期遅延の理由はさまざまですが、いずれにせよ、責任の所在を巡って大きな問題に発展するケースが散見されます。

・トラブル② 着工後の近隣トラブル

通常の工事において、請負会社は着工前に近隣挨拶を済ませ、工事中の騒音などによる近隣住民からのクレームを防止する配慮をします。

 

ただ、近隣挨拶を怠る施工会社も中には存在しますし、事前にしっかりと挨拶していても、いざ工事が始まると結局近隣トラブルが発生する場合も多くあります。

 

そして強硬なクレームであれば、現場を止めざるをえなくなるケースもあり、現場が止まれば大幅な工期遅延に直結します。

 

近隣住民の多い大規模な現場では、近隣トラブルのせいで現場が長期間ストップしてしまうこともあるのです。

 

・トラブル③ 施主と打ち合わせた内容や図面と仕上がりが違う

施主が工事発注に不慣れな場合、施工業者が図面を説明しただけで、施主が仕上がりを正確にイメージするのは非常に困難です。

 

そして外観や設備、間取りなど、施主の認識と施工後の仕上がりが異なっていた場合、トラブルにつながってしまいます。

 

特に、打ち合わせ段階で細かい設計変更を行ない、変更を文書や修正図面で共有していなかった場合、竣工後に「言った」「言わない」の争いに発展する例は、珍しくありません。

 

最悪、工事のやり直しを受け入れなければならない可能性もあります。

 

・トラブル④ 値引き受注によって仕上がりの質が低い

建築工事は金額が大きいため、契約前の値引き交渉は当たり前に行なわれます。

 

施工業者の営業担当者は契約欲しさに値引きに応じますが、価格を下げればその分、現場で利益を作るための工夫をしなければなりません。

 

そのため、原価を下げるために作業員を減らしたり資材の質を下げたりといった「手抜き工事」を行ない、仕上がりのクオリティが下がって施主からのクレームに発展する場合があるのです。

 

・トラブル⑤ 竣工・引渡し後に施工不良が発覚する

いくら引渡し時に施主のチェックを受け、承諾を得ていても、引渡し後の建物に水漏れや傷、色むらや汚れなどの問題が発生することは往々にしてあります。

 

施工業者に施工ミスや瑕疵の責任がある場合、工事のやり直しはサービスでやらなければいけません。

 

ひどい不具合の場合は、工事をやり直すだけでは済まず、施主から損害賠償を請求されるリスクもあります。

 

施工トラブルを回避する4つの秘訣とは?

それでは、トラブルによるダメージを最小限に抑えるためには、どうすればよいのでしょうか。

 

 

・秘訣① 適切な工期を設定し、書面に明記する

工期遅延を防ぐ最大のポイントは、そもそも守れないような無理な工期で契約を結ばないことです。

 

自社ではこなせない短工期の契約を、仕事欲しさに取ってくるのは慎みましょう。

 

加えて、施主からの変更指示や追加工事によって工期が遅れる場合にどうするか、災害や悪天候によって工期遅延が生じる場合にどうするかなど、現実的に起こりうるような不測の事態が起きた場合、施主と施工業者の間でどのように話し合うのかも契約書に明記することが重要です。

 

そして契約書によるリスク管理については、自社だけでやるよりも、建設業のリスクマネジメントに強い弁護士などの専門家に依頼することが必要となります。

 

・秘訣② 近隣住民にまめに対応する

近隣トラブルを防ぐために大切なのは、大前提として着工前の近隣住宅への挨拶をきちんとすることです。

 

より万全を期すのであれば、大きな騒音の出る工事やホコリが舞う作業が発生する前など、節目のポイントで繰り返し説明に出向いておくとよいでしょう。

 

中には、元請業者でなくても工事の万全を期すため、自主的に近隣挨拶に対応する下請業者もあるようです。

 

・秘訣③ 施主とのコミュニケーションを密に行なう

工事完成後の施主との認識の相違を防ぐためには、着工前の打ち合わせだけでなく工事中も細かく施主とコミュニケーションを取り、信頼関係を築いて関係性を良好に保ちましょう。

 

LINEなどのツールで工事内容と現場写真を都度、施主に情報共有しながら、具体的なイメージを確認するのもおすすめです。

 

建設業界人が見る見積もりや資料、カタログだけでは、施主には絶対に仕上がりはわからないと想定しておきましょう。

 

・秘訣④ 建設業用の保険商品を活用する

さまざまな対策を取ったとしても、残念ながら、工事による施工トラブルのすべてを防ぐのは不可能です。

 

自社のミスをゼロにするのも、現実的には難しいものです。

 

そこで、どうしても100%予防するのが難しいトラブルについては、保険加入によってリスクヘッジするのもひとつの手です。

 

大多数の建築業者が加入する建設業総合保険は、高額なわりに補償の内容が現場の実態に合っていない商品もありますが、中には建設業のリアルを知り尽くした保険会社が設計した、痒いところに手の届く補償を適正な保険料で得られる商品も、少数ながら存在します。

まとめ

 

建設業でよくある施工トラブルと、トラブル回避のための予防策を紹介しました。

 

建設業は、モノづくりに取り組むクリエイティブな仕事ですが、それと同時に、請負業特有のトラブルをどれほど防げるのかに利益が大きく左右されます。

 

防げるトラブルは事前対策で防ぐ、トラブルが起こった場合の対処法を決めておく、保険を活用するなど、不測のトラブルで自社が大ダメージを受けることがないように、リスクをしっかりコントロールしましょう。

新築一戸建ても価格が上昇

首都圏の新築一戸建ても価格が上昇?

マンション価格の高騰の影響か?調査結果を詳しく解説

 

新築一戸建ての平均購入価格は4844万円で、調査開始以降で最高額

まず、2024年に新築分譲一戸建てを契約した人の購入物件について、見ていこう。購入物件価格の平均額は4844万円で、2014年の調査開始以降で最高額になった。内訳を見ると、「6000万円以上」のシェアが20.1%になり、前年の13.2%から大きく増加した。

■購入価格(全体/実数回答)

購入価格(全体/実数回答)

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

次に、購入物件の広さを見ると、建物の平均面積は98.5m2で、2022年の97.9m2、2023年の98.0m2とわずかながら2年続けて拡大している。一方、土地の平均面積は118.5m2で、こちらは2022年の122.0m2、2023年の119.3m2とわずかに縮小傾向にある。

物件最寄り駅からの距離を見ると、「バス・車利用」が2023年・2024年ともに最多の25.7%だったが、徒歩圏の平均を見ると2023年の14.0分から2024年の13.6分と、少し短縮している。

 

平均価格の上昇は東京23区のシェアが増えたから?

首都圏の新築一戸建ての購入平均価格が上昇したのは、駅距離や広さの条件によるというよりも、所在地の影響が大きいと考えられる。購入した物件の所在地で「東京23区」のシェアが前年の13.3%から15.9%に増えたからだ。

■購入物件所在地(全体/単一回答)

2023年契約者全体

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

物件所在地別の平均価格を見ると、「神奈川県」では2023年と2024年で違いはないが、「東京都下」、「埼玉県」、「千葉県」では2024年に上昇している。しかし、目につくのは、「東京23区」の平均価格の上がり方だ。2024年にはついに7000万円を突破したほど、急な上がり方をしている。

価格上昇が続く東京23区のシェアが増えたことで、平均価格を押し上げたといえるだろう。

■平均購入価格の推移

平均購入価格の推移

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

平均購入価格の上昇に伴い、ローンの借入額や世帯総年収、共働き比率も増加

ちなみに、リクルートではすでに、「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」を公表している。このマンションの調査を見ると、平均購入価格は6629万円でやはり調査開始以降の最高額となった。ただし、物件の所在地のシェアでみると、東京23区が前年から大きく減少した。

これは、新築マンションの平均価格、特に東京23区の平均価格が8440万円になるなど、手が届きにくい価格になっていることの影響が考えられる。手の届きやすい価格帯の東京23区外のマンションを購入する動きがあった、とみられている。

では、新築マンションの価格上昇により、新築一戸建ての購入動向にも変化がみられるのだろうか?

新築一戸建ての平均価格が調査依頼最高額となり、東京23区の物件を購入したシェアが高まっていることは、すでに紹介した。このことから、23区内のマンションから一戸建てに切り替えた世帯が一定数いたことが想定できる。ちなみに、東京23区の平均価格は7202万円で、新築マンションより低い。

購入する価格が上がれば、ローンの借入額も増える傾向がある。2024年の調査結果を見ると、住宅ローンを借り入れた世帯の借入総額の平均は、4524万円となり、調査開始以来最高額となった。特に目立つのが、「5000万円以上」のシェアだ。2023年では「4000~5000万円未満」が最も多くなっていたが、2024年になると「5000万円以上」が31.4%で最多となっている。

■ローン借入総額(ローン借入者※/実数回答)

ローン借入総額(ローン借入者※/実数回答)

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

借入額が増えたことの影響か、全体の世帯総年収額や共働き世帯比率も増加している。
まず、平均世帯総年収は2023年の814万円から2024年の875万円と上昇し、調査開始以来の最高額となった。なかでも、「1200万円以上」のシェアが大きく増加した。

■世帯総年収(全体/実数回答)

世帯総年収(全体/実数回答)

出典:リクルート「2024年首都圏 新築分譲一戸建て契約者動向調査」

共働き比率は全体で72.0%となり、調査開始以降で初めて7割を超えた。

さて、金利がある時代に変わり、住宅ローンの金利も上昇トレンドに入った。そうはいっても、まだ低金利の状況にあるといえる。購入価格の上昇に伴い、ローンの借入額を増やしても、低金利の恩恵で利息を抑えることができるが、長期間返済するうちには金利が上昇する局面もある。無理のない資金計画を立てることが重要だ。

価格は当面下がりそうにないのに、金利は上がりそうないま、住宅購入を決めるのは難しいかもしれない。今は損得よりも、家族の生活拠点をどうしたいかを優先し、無理のない返済プランにすることを重視するのがよいだろう。日々の暮らしを快適にするために住宅を購入するのだから。

SUUMOジャーナルから引用

建設工事に必要な足場の役割

 

建設工事現場には必ずと言っていいほど足場が組まれています!!

 

足場は建設工事、解体工事など様々な場所で組まれるもので

足場がなければ工事が成り立たないといっても過言ではありません。それほど

重要な役割です。

ひとえに足場といっても枠組足場、単管足場など様々な種類があります。

どれもが工事を安全に進め、近隣の人たちの安全を守るために欠かせないものばかりです。

 

 

足場とは

足場とは、建設工事や解体工事をする際に建築物の周りに組み上げられる

構築物です。

足場といっても様々な種類があります。足場は建物の建築、修繕、解体になくてはならないものです。

足場の歴史は非常に古く、紀元前古代エジプトのピラミッド構築にも利用されています。日本でも古くから丸太を組み合わせた足場が利用され20世紀になると

銅製の足場が組まれるようになりました。

 

足場の役割

建設工事や工事で足場が果たす役割は大きく以下の2点です。

・高所作業を安全に行える。

・近隣への影響を防げる。

高所で安全に作業を行うためには安定した場所の確保が必要です。

そのため建築工事や各種工事にとって足場はなくてはなりません。

近隣への影響を防ぐとは、建築による飛散物や落下物の抑止、騒音の防止を意味します。

この場合、足場に養生を行います。

建築現場でネットを張り巡らしている光景をよく見かけますが、あのネットが養生です。

ネット以外にも養生用鋼板が使われることもあります。

いずれも周囲の安全を守るために大変重要です。

 

まとめ

今回は、足場とは何か、足場の種類などについて解説しました。

足場は建築、建築工事を安全かつ効率的に行うために重要なものです。

建築、建設工事の際には対象となる建物に沿って構築されます。

場合によっては養生を行い、周囲への飛散や落下の防止を果たしたり、騒音を防いだりする効果もあります。

足場を組むためには経験を積み、資格を取得することが重要です。

こうした経験により、安全に作業できる環境が整えられるといっても過言ではないでしょう。

足場に少しでも興味を持ったときには、ぜひ足場について調べてみることをおすすめします。足場の奥の深さ、足場工事や工事そのものへの理解も深まることでしょう。

 

梅雨時期の建設業界での課題と解決策

梅雨の時期は建設現場でさまざまな課題が発生します。

雨による遅延や、安全確保のための対策が必要です。また、雨漏りやカビなどのトラブルへの対応策も重要です。

建設機材の錆びや故障リスクを軽減するために、適切な管理とメンテナンスが求められます。

また、建設計画の再考と日程調整の工夫が必要となるでしょう。

さらに、設備や資材の保管管理も重要であり、適切な管理方法を確立することが不可欠です。

梅雨時期における建設業界の課題に対する解決策をしっかりと考え、適切な対応を行うことが重要です。

梅雨による建設現場の遅延と作業の安全確保

梅雨時期は、建設業界にとって非常に厳しい時期です。降雨による建設現場の遅延は避けられませんが、適切な対策を講じることで作業の進行を効率化することができます。

一つの解決策として、屋外での作業を最小限に抑えることが挙げられます。悪天候時には屋内での作業や準備を行うことで、作業の遅延を最小限に抑えることができます。

また、作業現場の安全確保も大きな課題です。雨天時は滑りやすい路面や足場による事故のリスクが高まります。定期的な点検や適切な安全対策を実施することが重要です。

さらに、適切な防水対策や排水設備を整備することも大切です。建設現場が水浸しになると、作業効率が低下し安全・衛生上のリスクも高まります。

梅雨時期の課題に対処するためには、計画性やリスク管理の重要性がますます高まります。建設業界では、梅雨時期に向けた適切な対策を講じることで、建設プロジェクトの円滑な進行と作業安全の確保が求められています。

雨漏りやカビなどのトラブルへの対応策

梅雨時期に建設業界で最も多いトラブルの一つが雨漏りです。雨漏りが発生すると、工事の進行が遅れるだけでなく、建物自体にも影響を及ぼす可能性があります。

そこで、雨漏りの対策としては、建物の屋根や外壁などの防水工事を適切に行うことが重要です。また、定期的な点検やメンテナンスを怠らないことも大切です。

次に、カビの発生も梅雨時期によく見られる問題の一つです。カビは建物内の湿気が原因となることが多いため、湿気をしっかりと管理することが必要です。

カビ対策としては、建物内の換気を十分に行うことや適切な断熱・気密工事を施すことが有効です。また、カビが発生してしまった場合は、専門の清掃業者に依頼するなど、早めの対応が重要です。

以上のように、雨漏りやカビなどのトラブルに備えるためには、適切な防水工事や湿気管理を行うことが欠かせません。建設業界では梅雨時期の課題に備え、十分な準備をしておくことが重要です。

建設機材の錆びや故障リスクの軽減方法

梅雨時期は建設機材の錆びや故障リスクが高まる時期です。

まず、建設機材の錆びを防ぐためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。梅雨の湿気を吸収してしまった機材は錆びやすくなるため、湿気を吸うスポンジやタオルを使って機材の表面をしっかり拭き取ることが大切です。

さらに、機材が長時間雨や湿気にさらされる場合には、シートやカバーを使用して保護することも有効です。特に機械の摩擦部分や電子部品は水に弱いため、しっかりと保護する必要があります。

故障リスクを軽減するためには、過度な使用を避けることが重要です。梅雨時期は現場での作業が難しくなることもありますが、無理な作業を行うと機材に過度な負荷がかかり故障のリスクが高まります。

定期的な点検や部品の交換も怠らず、万が一の故障に備えることも大切です。機材の保守管理を徹底することで、梅雨時期における故障リスクを最小限に抑えることが可能となります。

建設計画の再考と日程調整の工夫

梅雨時期の建設業界では、雨や湿気による作業の妨げが課題となります。特に建設計画の再考と日程調整が重要となります。

建設計画を立てる際には、梅雨時期の降水量や湿度を考慮し、道路工事や外壁塗装などの屋外工事はできるだけ避けるようにしましょう。代替案として、室内工事や設備工事など、雨の影響を受けにくい工程を優先することが有効です。

日程調整に関しては、柔軟なスケジュール管理が求められます。天候や作業の進捗状況を適宜確認し、遅れが生じた場合は他の工程との調整を行うことが重要です。また、余裕を持ったスケジュールを設定することで、梅雨時期の遅延に柔軟に対応できます。

さらに、作業場所や素材の保管方法を工夫することも大切です。雨漏りの心配がある場合は、屋根やシートで作業場を覆うなどして防水対策を施すことで作業の安全性を確保できます。

梅雨時期の課題に対処するためには、建設計画の再考と日程調整に重点を置き、臨機応変な対応が求められます。

設備や資材の保管管理の重要性と方法

梅雨時期は急な雨や湿気などの影響で設備や資材が劣化しやすい時期です。そのため、適切な保管管理が欠かせません。

まず重要なポイントは、設備や資材を湿気や雨から守るための保管場所を確保することです。屋内の保管スペースを十分に確保し、必要に応じて防水シートやタープを使用してしっかりと保護することが重要です。

さらに、定期的な点検や清掃が欠かせません。湿気や雨の影響でカビや劣化が進む可能性があるため、定期的に設備や資材の状態を確認し、清掃を行うことで品質を維持することができます。

設備や資材の管理には、専用の管理システムを活用することも有効です。バーコードやRFIDなどの技術を活用して在庫管理や管理記録を効率化し、必要な時に必要な資材や設備を素早く取り出すことができます。

以上が設備や資材の保管管理の重要性と方法についてのポイントです。梅雨時期の課題を適切に対処するために、しっかりとした管理体制を整えておくことが大切です。

賃貸の火災保険

賃貸の火災保険、“自分でも選べる”ことを知っていたのはたった3割!?

不動産会社オススメの保険にそのまま加入するデメリットも解説

賃貸住宅で必要となる保険は火災保険だけじゃない!?

まず、この調査では、「現在の賃貸住宅用の火災保険に加入した状況」について聞いていることを押さえておこう。

というのも、賃貸に住む際に必要な保険は「火災保険」に限らず、「賠償責任保険」などもあるからだ。

火災保険は、住宅が火災の被害に遭ったときの損害を補償する保険。

ただし、補償内容は、火災に加えて、風水害や落雷、水漏れ、盗難などに範囲を広げられる(地震による火災は「地震保険」が対象)。また、消火活動に要した費用なども補償される。

賃貸住宅の建物は貸主(大家)のものなので、通常は建物の火災保険は貸主が、自身の家財の火災保険は借主が加入する。

もし、借りている部屋で火災などが発生したら、家財については補償の対象となるが、室内の壁やキッチンなどの設備は家財の対象にならない。

そのため、貸主が契約条件として、「借家人賠償責任補償」特約をつけた火災保険への加入を求めることがある。

「借家人賠償責任」の保険は、借りている部屋で事故などが起きたときに、貸主に対する損害賠償を補償するもの。

これによって、火災や水漏れで壁や床、住宅設備などに損害を与えた場合でも、保険によって借主の「原状回復義務」(入居中に生じた傷などを回復させる義務)を果たすことができる。

こうした保険に加入することは、貸主だけでなく借主にもメリットがあることなので、賃貸住宅の入居条件となっていることが多い。

 

7割以上は不動産会社が用意した保険にそのまま加入。約7割が自分で選べることを知らなかった

では、調査結果に話を戻そう。

まず、賃貸住宅用の火災保険加入者に対して、加入した状況に最も近いものを聞いたところ、「賃貸借契約の際に、不動産会社に指定された保険に加入した」(60.2%)が最多だった。

「賃貸借契約の際に、不動産会社にオススメされた保険に加入した」(12.6%)と合わせると、そのまま加入したのは72.8%に達する。

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」より

次に、不動産会社が指定・オススメした火災保険に加入した728人に対して、「賃貸火災保険は不動産会社や管理会社が指定する特定の保険ではなく、自分で選んだ賃貸火災保険に変更できること」を知っているか聞いたところ、「知っていた」は30.9%にとどまり、「知らなかった」という回答が69.1%になった。

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」より

また、現在加入している火災保険の補償内容や補償範囲などをどの程度理解しているか聞いたところ、「あまり理解していない」(38.0%)と「ほとんど理解していない」(10.7%)の回答を合わせた48.7%が、自分が加入している保険の内容を理解できていないことが分かった。

 

自分で選べば自分が必要とする範囲をカバーできる?

保険が賃貸住宅の入居条件となっているのは、火災などの被害に遭った場合に、貸主も借主も困らないようにするためだが、実際にどこまでの補償内容を求めるかは、貸主によって異なる。

火災保険(家財)に借家人賠償責任補償の特約を付帯することを条件とする場合もあれば、借家人賠償責任保険のみを条件として、家財の火災保険は借主自身の判断とする場合もあるだろう。

逆に、借主がすでに別の保険やクレジットカード付帯の保険で、補償内容をカバーしていることもあれば、借家人賠償責任保険ではなく「個人賠償責任保険」に入って、より補償範囲を広げたい(階下など他者への損害まで補償する)と考えることもあるだろう。

不動産会社が指定・オススメしている保険が、必ずしも自分に必要がない補償を含む場合もある。

保険加入が入居条件になっている場合は、貸主がどこまでの補償範囲を求めているのかを確認し、自分で保険を選べるかどうか相談するとよいだろう。

また、たとえ保険加入が入居条件ではなく任意の場合でも、万一に備えるために保険の加入を検討したい。

一般的に、補償が手厚いほど保険料も高くなるので、自分に合った保険を選びたいもの。

それには、保険の補償内容をよく理解し、どんなリスクまでカバーしたいのか考える必要がある。また、すでに加入済みの保険の補償内容を再確認して、重複することのないようにしたい。

くれぐれも、不動産会社が用意した保険だからと、補償内容をよく理解しないまま加入してしまうことのないようにしてほしい。

 

SUUMOジャーナルから引用