2025年11月22日
“知”のインフラ
当社の最前線で活躍している部署は間違いなく”施工管理”です。
なぜ”施工管理”が必要とされているか、真剣に考えてみました。
私の目から見える現実を話したいと思います。
「現実」=問題の構造化
1.談合・価格カルテル構造
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大規模修繕などの入札で、管理会社主導のクローズドな見積もりが常態化。
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多重下請け構造により適切な価格の透明性が失われ、競争が機能しない。
2. 管理組合の情報・知識の非対称性
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管理会社に技術的・専門的な判断を依存。
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管理委託契約書や修繕仕様書を理解できず、コスト・品質の検証が困難。
3. 修繕積立金のブラックボックス化
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改修計画がメーカーやゼネコン寄りに設定されており、住民側に不利益。
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蓄積された積立金が実質的に「業界の食い物」になっている。
4. 技術の喪失
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職人の技術は現場に属人化
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労働人口減少による技術継承ができない
5.施工管理者が正当に評価されていない
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管理者は「現場監督」ではなく「調整屋」と化している
これらはそれぞれ単独の問題ではなく、構造的に連鎖しています。
知識の非対称性
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意思決定の支配構造(管理会社優位)
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価格の不透明化・談合構造
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技術・品質より「調整力」が評価される文化
↓
現場・技術者の地位低下
↓
技術の継承断絶
この構造を「社会問題の因果ループ」として整理すると、「施工管理者の再定義」が必要だと答えが出ました。
目指している「未来」
2つの軸があります。
① 社会構造的理想
管理組合や技術者が「依存」から「主体」になる社会
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情報と判断を自分たちで扱える社会
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工事・管理の意思決定が透明で公正
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建設業が「信頼インフラ」として再評価される
② 人的理想
施工管理者が「現場を動かすだけの人」から「価値を創る人」へ
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職人の知を尊敬し、技術を翻訳して社会に伝える存在
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データや知識を扱う知的労働者としての地位
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現場と社会の間に“倫理”と“知恵”を持ち込む媒介者
信じている「原理」
技術 = 良い工事 = 適切なマネジメント = 適正な価格
つまり、
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良い技術は正しい管理があって初めて社会に価値を残す
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管理とは「監視」ではなく「支える」こと
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適正な価格は倫理の結果である
「施工管理」という仕事は社会的”知”のインフラである。


